エッセイ

思いつくままに…
みみをすます

20数年前、尾上墨雪さんの依頼により谷川俊太郎の詩「みみをすます」を作曲し、墨雪さんの舞踊公演で上演されたことがありました。
その後何回か再演されましたが、先日2月21日に日本舞踊協会の大会で新たに振り付け直されて、改めて再演されました。 久しぶりの再演だったので詩を読み返し曲を聴き返しましたが、言うまでもないことですが素晴らしい詩だと再認識しました。
全体では、すべてのことに耳をよくすまして傾けようではないかという詩なのですが、とくにぼくが感銘を受けたのは、最後の “みみをすます/きょうへとながれこむ/あしたの/まだきこえない/おがわのせせらぎに/みみをすます”。
ついぼくらも今のことで精いっぱいで、まだ来ない先のことに心を配ることができません。
生きとし生けるものに改めてみみをすます。みみをすまさねばならない。もう待ったなし、という思いを強くしました。
ぼくにとってとってもいいタイミングでした。

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