エッセイ

思いつくままに…
思ひあふれて

 先日ぼくが理事長を務めている
「現代邦楽作曲家連盟」と東京藝術大学の協力で、
「現代邦楽の夕べⅠ」と銘打った講座が開かれました。


当創邦の米川理事長のチェンバロと箏の二重奏「彩の響」、
この曲はこれからの日本音楽の行く先を
予感させる作品でした。素敵でした。
 それからぼくの処女作「六斎念仏による意想曲」と
小品歌曲二題―「はなかご」と「思ひあふれて」―を
演奏させてもらいました。
「はなかご」は萩岡未貴さんの弾き唄いで、
過不足のない、とてもよい演奏でした。

それから杵屋秀子さんの唄、中川敏裕の箏で
「思ひあふれて」を演奏しました。
秀子さんの唄は、曲の思いがあふれ出るような
圧巻の演奏でした。
才能やテクニックをひけらかすのではなく、
曲への思いがこぼれ出て、
そのはざまから才能があふれ出て
きらりとしたテクニックがこぼれ出るような、
大人の唄でした。
秀子さんと敏裕のこのアンサンブルは、
これ以上ないといってもいい出来だったように思います。

 また「六斎念仏意想曲」は、
今藤長龍郎さんの三味線群、藤舎佐千子さんの太鼓群での、
プレスティッシモで若さあふれる、たいへんすばらしい演奏でした。
幸せでした。

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