エッセイ

東京新聞 1999年7月31日掲載
風車◇時代の曲がり角

 先日、母を亡くしました。息子が申すのもなんですが、太鼓の名人だったように思います。長唄のK・Nさんが早速弔問に来てくれました。母の死を悼んでくれ「時代の移り変わりをつくづく感じる。でもここは我々が一生懸命勉強して、次の時代をつくり上げなければ」という言葉を聞き、とても心強く思いました。
 どんな名人も永遠に命を永らえることはできません。芸は受け継ぎ発展させてこそ永遠の命を得ることができるのです。
 ケネディ・ジュニアの悲劇が報ぜられ、政治の世界では「毛沢東」を最後にカリスマの時代は終わった。しかしその光芒をケネディ・ジュニアに見出そうとした大衆の思いが悲劇性を一層浮き出させたというような事が書いてありました。
 芸の世界でもカリスマの時代は終わったのかもしれません。どのジャンルでもスターのいない世界は隆盛にはなりにくい。しかし、そのスターもそれを生み出すしっかりしたベースの上に生まれなければ、バブルに終わってしまう。
 今や二十世紀から二十一世紀への曲がり角、より良い世紀を迎えるためにもたくさんのスターが生まれるよう感性を磨き勉強し、智を集めたいと思う。