エッセイ

東京新聞 2003年5月31日掲載
風車◇先駆者

 今月21日、邦楽の若手が集まってできた「創邦21」の第4回演奏会があった。そういえば芭蕉が奥の細道へ旅立ったのはたしか陰暦3月末、今の5月半ばだったと思う。芭蕉の芸術の根幹を成している思想は「不易流行」という言葉である。人間にとって、時代を超えて普遍的なことと、時代や環境によって変化するものとはどちらも大事で、つまるところ常に両立させねばならないということなのだろうか。
 芭蕉にとっては「不易流行」、世阿弥にとっては「花」等々、偉大な芸術の先駆者たちは、己が志すものに何が大事なのかということを明確に持っていたようだ…。だからこそ偉大な先駆者になれたのかもしれないが。
 ところでその「創邦21」の演奏会だが、全6曲、作詞同人、作曲同人、演奏同人、そして今回は杵屋巳太郎氏と僕が監修同人?ということで、皆それぞれの役目に応じて一生懸命力を尽くしたつもりである。曲や演奏会の運営等の出来不出来は聴きに来てくださったお客さまのご批判をまたなければならないが、一応監修という形で参加させていただいた僕の耳からすると、現時点での合格点はいただけるものと思っている。
 この会を今後続けていくことにより、同人一同誇りを持って先駆者と言われるような人になっていきたいと願っている。