エッセイ

思いつくままに…
超一流の人

12月18日僕のリサイタルのとき、紀尾井ホールの音響設計をなさった永田穂先生をお招きしました。演奏会の後、先生に感想を伺うために電話をしました。電話口で先生は「総体的にとても良い演奏会で良い音でした」とおっしゃってくださいました。それに続けて「唄の日本語が少し聴き取りにくい所があった。しかしこれは演奏者の責任ではなく、そういう音響設計をした私に責任の大半がある。大変反省している。この結果は自分にフィードバックしてもっと勉強して響きを良くしても、なおかつ日本語もよく解るホールを作りたいと思います」とおっしゃった。そして加うるに「今度、紀尾井ホールでリサイタルをなさる時には舞台稽古のときに呼んでほしい。一緒に考えたい」と言ってくださった。
 紀尾井ホールは、日本でも音も含めて指折りのホールであることは多くの皆様のよく知るところです。さればこそ、僕も演奏会場に選んだのです。そのことだけでも充分価値があるのに、なお向上の志を持って、正直かつ率直な言葉を述べられたことに大変感動しました。『超一流の人』というのはこういう人のことだと今さらながら尊敬の念を新たにしました。
 それにつけても、国立や都立で多目的ホールではない日本音楽専用のホールが永田先生の設計で建つことになったらどんなに素晴らしいだろうと、夢のようなことを考えております。このことは竹内道敬先生も12月18日の僕の演奏会のプログラムに書いてくださっています。日本の芸術文化全体の意思として、大きなうねりになっていけばいいなと思っています。