エッセイ

邦楽ジャーナル 2000年7月号
巻頭エッセイ◇耳の正月、目の正月 4

 5月16日に日本橋劇場において「創邦21」という演奏会が誕生した。1964年に三世今藤長十郎先生をはじめとする先輩諸氏の音頭取りで、まだ駆け出しだった僕達の世代も参加させてもらって「創作邦楽研究会」が発足し、「創作邦楽の展示」というタイトルで演奏会が催された。もう30年以上も前のことである。およそ10年間ほど演奏会が続けられていたが、各々の同人が多忙を極めたため、活動の継続が出来なくなってしまった。
 4、5年前から、その会の生き残りの杵屋巳太郎氏と僕とで、当時邦楽界においてその会は大変有意義であった、ということを懐かしさを混じえながら話し合っていた。そして、あのような会をまたやりたいね、ということになり、才能と意欲のある人達に相談をして、会を発足させることができた。準備すること3年、演奏会を催すことができたのである。この会は、同人は皆平等、作品のスタイルは自由ではあるがどこかで邦楽の伝統的な心を受け継いでいるものとする、また演奏や文芸を担当する人達にも同人として参加してもらう、ということ等をポリシーとしている。これからも更に優秀な同人に参加してもらって、現代さらには将来に向かって、日本音楽にとって意義ある存在になりたい、そして聴いて下さる方々に良い「耳の正月」をお届けできれば、と思っている。
◇邦楽ジャーナル掲載 http://www.hogaku.com